最近、空はずとっと雨でした。土の匂いがする空気、傘の下で歩いている人間、足で上げた水、ちりちりの音、それに灰色で低い空。
雨が好きです、雨の中にある町も好きです。晴れと違います、陽だまりのにぎやかさの代わりに、静かな世界です、特別な匂いです。
ちゃんと憶えています、ある放課後、強い雨でした。早く帰りたかったから、雨に入れました。風はよく大きくなくてよかった、あまり急げなくていいんでした。
中速で歩きました、時々は車や自転車なんてそばに過ぎまして、積もった水を半部に分けました。向こうに信号はちょっとよく見えなかったけど、色はいつもよりもっとやわらかになりました。ついにバスに乗りまして、窓から見えるのは、傘が持っていたのや持たなかったのとか、自転車にいたのや歩いていたのとか、速いのや遅いのとか...人々も自分の方で雨の中に行きました。窓を沿って流れる雨、視線をよく見えなかった。印象の灰色の町。
家にもうすぐに帰るほど、雨もそんな強くなかった。そよ風が振られて、気持ちよかったです。空を見上げて、どんどん明るくなりました。ぼつりぼつりと雨粒が振り続けていまして、土へ消えました。
その雨粒のように、雨の人々、雨の空、雨の町、それに雨自体。目に見えるすべて、私の心へ落ちました、「この瞬間」の記憶となりました。
記憶はこんなに素晴らしいです。想う時も素晴らしい時間。
想う、面白く幸せです。
もうある日、その雨は夕方から降りました。その始まり私ぜんぜんしりません。雨が強めになって気づいた時まで、もう夜でした。自分の家はすっごく高いから、窓から見えるのは広い雨の町。目に見た町、静かにその雨で浴びられました。そして、Chopinの夜曲を響かせて。甘くて静かでピアノ声と同じ感じがした夜雨、ひとつになりまして、静寂な気分と平和な気持ちの中でハーモニーを奏でました。
雨、こんなに素晴らしいです。一年四季、世界を薄い霧で包み込んであげます。春の咲きはじめる花に、夏の茂り木々に、秋の舞い落ちる黄色い葉っぱに、雨の淡い灰色は少しずつ滲み込んでいます。それに冬になりまして、雨は細い氷となります。「雪」という白いものとなって世界を覆い続けています。
灰のハーモニーと白のハーモニー。
時々もこんなに幻想しています。ひとつの細い雨があった黄昏、一人で町をゆっくり歩いています。傘は透明でした、傘を通り顔を仰ぎまして、雨粒が目の前に傘で止められまして、落ちる前に軌跡を変わられるみたいに。ほとんど馬車がひとつそばに通りまして、小さな道も静かな感じがします。もうすぐ夜になります、19世紀風の街の灯も一つ一つ光りだして、オレンジの光が柔らかで軽くて。バーにも明るくなります、弦楽器の音楽が流れ出して、また人々の笑い声。雨粒は店のベルを敲く、楽しくて甘い声が聞こえます。雨粒も近所のジャングルに落ちまして、優しく歌っています。深く甘い空気を吸いまして...私はどこにいますの?イギリス、ドイツ、フランス、あるいはイタリア、あるいはロシア、あるいは...私も知りません。多分、ここは私だけの町、いつも雨が降り続ける町。私はこの街を深く愛しています、これはただひとつの幻想ですけど。
そして、雨、町、雨の人々、音楽、自然、静かさ、儚さ...
世界中一番の夜曲